MacOS MojaveにTeX環境の構築

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今回は,MacOS MojaveにTeXを導入していく.

理系の院生にとって必須の執筆ツールと言っても過言ではないだろう.

はじめに

TeXとは,広く用いられているテキストベースの処理システムである.

分野にもよるが,学術・研究分野では標準的な執筆ツールとして用いられている.
(最近はWordが推奨されるジャーナルも増えているみたいだが…)

私も大学の学位論文やジャーナル論文,学会予稿などのほとんどはこのTeXを用いて執筆している.

TeXを用いる個人的な利点としては,

  • マルチプラットフォーム
  • 数式や図版を綺麗に出力できる
  • 図表の貼付位置の指定が楽
  • テキストベースなのでGitなどでバージョン管理しやすい
  • Wordの数式エディタに比べて複雑な数式の記述が圧倒的に楽
  • 図や表の参照,参考文献の引用を自動で生成できる

あたりではないかと思う.

Word等で作成した書類に比べて,圧倒的に美しい文書を作成することができる. 欠点としては使い慣れるまでに時間がかかることだろうか.

MacTeXの導入

ここでは,MacTeXというパッケージを使ってTeX環境を作っていく.
Mac上にTeX環境を構築するには,これが一番簡単な方法だろう.

MacTeXとは,macOS 専用の TeX ディストリビューションである.
ざっくり言うとTeXを処理してくれるツールが色々とつまっているものである.

MacTeXのダウンロード

MacTeX 2018を公式サイトからダウンロードする.

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MacTeX.pkg というリンクをクリックするとダウンロードできる.

上記リンク先にはHigh Sierraまでしか書いていないが,ちゃんとMojaveでも動くのでご安心を!

ダウンロードが重い場合は,以下からミラーサイトを利用すると良いだろう.

MacTeX - TeX Wiki

MacTeXのインストール

"mactex-2018xxxx.pkg"というファイルがダウンロードされるので,ダブルクリックで実行する(ファイル名のxxxxはバージョンで異なる).

あとはインストーラの指示に従って進めていけばOK.

MacTeXの中身

MacTeXには以下のパッケージが含まれている.  

  • TeXLive 2018:TeX/LaTeXの本体
  • GUIアプリケーション
    • BibDeck:文献管理用のソフト
    • LaTeXit:数式を作成して、画像ファイルなどの形式で他のアプリケーションにコピペできるソフト
    • TeX Live Utility:TeXLiveのパッケージ管理などができるGUIユーティリティ
    • TeXShopmacOS専用のTeX統合開発環境
    • Excalibur:TeX対応のスペルチェッカー

ちなみに,GUIアプリケーションはアプリケーション内のTeXフォルダに格納されている. Launchpadからも確認可能.

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このように,MacTeXをインストールするだけで,macOSTeXを使っていく上で最低限のものは揃ってしまう!

TeXLiveの更新

TeXLiveを最新版に更新しておこう.

ターミナルからコマンドを打ち込む必要がある. ターミナルはアプリケーションフォルダ内のユーティリティに入っている.

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ターミナルを立ち上げたら,以下のコマンドを打ち込んでエンターキーを押せばOK.

sudo tlmgr update --self --all

終わるまで結構時間がかかるので、しばらく放置しよう.
途中,パスワードの入力を求められたら,Macのログイン時に使うパスワードを入力すればOK.

TeX用の統合開発環境IDE)について

上記の手順でインストールを行えば,"TeXShop"という統合開発環境を最初から使うことができる.
このTeXShopもデフィルトで付属している割には使い勝手もよく,基本的に困ることはない.

が,色々とIDEを渡り歩いた結果,私はTexpadというIDEにたどり着いた. MacTeXによる執筆を行う環境としては,これ以上のものは無いと思っている.

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上記の画像のように,MacOSと親和性の高いインタフェースである.
ウィンドウ内部の左側がエディタ,右側がプレビュー画面となっている.

フリーソフトではないが,数千円出すだけの価値はあるだろう. Texpadについてもまた別の機会にご紹介できればと思う.

[改訂第7版]LaTeX2ε美文書作成入門

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